小森発:フランス・おやつ探訪

 

皆さん、こんにちは。

今回もニームから、南仏らしいおやつを紹介します。

 

第7回 ニームで見つけたおやつ(その2) Goûter nîmois U

 

この度のテーマは、Fougasseフガスです。

フガスは日本のパンの本でもよく紹介されているのでご存知の方も多いかと思いますが、南仏の平たいパンで、オリーブオイル入りのシンプルな生地(ピザ生地に近いかと思います)を使い、ところどころに大きく穴があいているのが特徴のパンです。生地にはグラトンと言われる豚の脂身を刻んだものや南仏のハーブが入ることもあります。大きさはお店によりいろいろですが、大人の顔くらいの結構大きなものが多いです。

しかし、ここ、ニームに来てからパン屋さんで見るフガスは、ちょっと違っていました。穴はあいているものの、大きさは手のひらにのるくらい、生地もパン生地とはちょっと違っていて、もっとかたさがあるように見えます。早速、買ってみようとお店の人にお願いすると、「パン生地のものとパイ生地のものとありますが、どちらにしますか?」との質問。

たしかに、フガスと書かれた棚には2種類の形が違うフガスが並んでいて、私は最初、形のバリエーションかと思っていたのですが、生地の違いで形も違っていたのでした。写真を見てもらうとよくわかると思いますが、穴が小さく生地が四角くて厚めの方がパイ生地、穴が大きく開いている方がパン生地です。

食べてみると、パイ生地の方はサクサクと歯切れがいい生地、パン生地のほうはしっとりとして噛み応えのある生地で、どちらにもグラトンがたっぷり入っていました。グラトンというのは、豚の脂身を脂で揚げたもので、パン生地に入れると独特の風味がでます。

形や大きさは、お店によって少し異なりますが、だいたいは手のひらにのるくらいで、歩きながらでも食べやすいサイズです。小さいフガスということで、Fougassetteという名前で売っているお店もありました。フランスでは珍しい、塩味のおやつという感じですが、お酒のつまみにもよさそうな味と大きさです。

 

ニームのパン屋さんで買ったフガス。左がパイ生地、右がパン生地のもの

 

 

 

でも、主人の仕事先の人から、あるパン屋さんのフガスがとてもおいしいと聞き、早速、行ってみましたら、そこで売られているフガスは、小さな手のひら大のものでなく、大きな楕円型のものでした。大きさは、ニームに来るまでに知っていたフガスと同じくらいですが、穴はあいておらず、ただ平たく伸ばして楕円形に成形したもので、チーズにハーブを散らしたものと、チーズにベーコンを散らしたものの2種類が売られていました。ハーブを散らしたものは、Fougasse au paysan(田舎風フガス)という名前で売られており、その名前に惹かれて購入してみました。

食べてみると、意外な味が・・・グリュイエールという溶けるチーズにハーブを散らしたものと思っていたのですが、その溶けたチーズの下にブルーチーズが潜んでいたのです。なので、一口目はちょっと驚きましたが、ブルーチーズの強い味にハーブの香りも負けておらず、南仏らしい味のフガスでした。

 

Fougasse au paysan は大きなスリッパのような形

溶けるチーズとハーブの下にブルーチーズが潜んでいます。

 

 

 

こちらは黒オリーブがたっぷり入ったフガス

一口サイズに切って、おつまみにもなります。

 

 

 

さて、最後にもうひとつ、別のフガスを紹介しましょう。

Fougasse aux aigues mortes(エグ・モルトのフガス)というもので、なんと、これは甘いフガスなのです。

Aigues mortes(エグ・モルト)というのは、ニームから車で40分ほどのところにある海に近い街で、中世の街並みが残っているということで、観光地となってにぎわっています。

名前から考えると、その街が発祥の地だと思いますが、甘いフガスを見たのは、これが初めてでした。

このフガスは、オレンジの花の水の入ったパン生地に砂糖をふって焼いたもので、パン屋さんでは、大きく平らに焼いたものを手のひら大にカットして売っています。

パン生地は、ブリオッシュタイプのふわっとした生地が使われていますが、エグ・モルト出身のおばあさんの話では、昔はこんなにふわふわではなかったとのこと。ある日、彼女が買ったエグ・モルトのフガスが、あまりにもふわふわなので、「ここのお店のフガスは空気を食べているみたいだよ。」とお店の主人に言ってしまったそうです。

 

この話を聞いて、以前ご紹介した、ブレスのクリームタルトのパン生地のことを思い出し、きっとこのエグ・モルトのフガスも、昔は残ったパン生地で作ったおやつで、それが次第にバターや卵がたっぷり入るブリオッシュタイプの生地に変わっていったのでしょう。もともと、バターよりオリーブオイルをよく使う地域なので、昔のパン生地にはそれほどバターなどは使っていなかったと思われます。そのおばあさんが食べていた、昔の甘いフガスを味わってみたいなぁと思いましたが、どこのパン屋さんでもふわふわタイプのものばかりで、昔ながらのものを見つけることはできませんでした。今の私達の味覚には合わないのかもしれませんが、ちょっと残念です。

 

Fougasse  aux aigues mortes は甘いフガス

オレンジの花の水が入ったパン生地が南仏らしい味です。

おばあさんの言うように、たしかにかなりふわふわの生地です。

 

 

ということで、今回は、いろいろなタイプのフガスをお伝えしました。次回も南仏らしいお菓子をお伝えできればと思っていますので、お楽しみに。

 

 

 

 

 

<バックナンバー>

第1回 ガレット・デ・ロワ

第2回 ビューニュ

第3回 マトファン

第4回 タルト・ア・ラ・クレーム

第5回 いちごのデザート

第6回 ニームで見つけたおやつ(南仏菓子)